第15章 重なってゆく想い
リヴァイside
リヴァイ「リンの様子はどうだ。」
医務官「はい、腕の骨を折っているようですが、他は損傷ありません。ただ...イリス隊長を亡くした悲しみからか、食欲がなくやつれているように見えます。私達の前では気丈に振る舞っていますが、今回のことが精神的にかなりきているのだと思います。」
リヴァイ「そうか...。」
リンは壁外に出て2年目であることもあり、仲間の死を経験することが今回が初めてではない。俺も、何度仲間の死を経験しても、慣れるなんてことは決してないが、あの時のあいつは恐怖と怒りが混じったような目をしていた。
リヴァイ「あいつはイリスを慕っていたからな...。」
あの日、ネス班とイリス班の後方から走ってきていた俺の班は、伝達を受けて猛スピードであいつの元へと向かった。
ネス班は全滅し、リンが今にも食われる直前だった。俺は、あの時ほど何かに恐れたことはなかった。リンが死んだら...リンが俺の元から消えたら...考えるだけでも恐ろしくなる。
トントン
リヴァイ「入るぞ、っていねえのか。」
リンは部屋にはいなかった。怪我だってまだ治っていねえのに、まったく...どこにいきやがったんだ...。
真っ暗なリンの部屋の窓からは満月が綺麗に見えた。俺は、一か八か、あの訓練所の木がある場所へ走った。
リンはそこにいた。
木に力なく寄っかかって、無表情で月を眺めていた。
「...。
リヴァイ兵長の目には、この月がどう映りますか?」