第15章 重なってゆく想い
ミカエルside
イリス隊長は咄嗟に私の体を押して、巨人に腰から掴まれてしまった。
イリス「ぐぅわぁぁぁぁ!!!!」
「イリスさん!!!」
3m級の巨人は遊ぶようにイリス隊長を握りつぶそうとする。
「くそっ...!!!イリスさんを離せ!!殺してやる...!!殺してやる...!!!」
だが、武器を持たない私は、医療部隊が持つメスを巨人の体に突き刺すことしかできなかった。
イリス「リン...。よせ...。こいつが私を殺している間に..逃げろ...!」
「できません...!!イリスさんには生きていて欲しいんです!!だって、まだイリスさんがちゃんと笑ったところを、私は見てません...!!」
イリス「お前は、やっぱり、あいつと似ているな。いつの間にか私は...お前をあいつと重ねて見ていたのかもな...。」
「くそ...っっっ...!!!私にもっと力があれば...!!こいつを殺してやるのに...!!」
イリス隊長の体がどんどん巨人の手によって、握りつぶされていく。私は、何度もメスを突き刺したり、巨人を蹴ったりした。すると、巨人は私に気づいて、私の腕に噛みついてきた。
「うぅっ...!!!」
イリス「もういい!!しっかりしろ!!リン!これから先お前の力を必要としている人間がどれだけいると思っている?お前は、殺す方より救う方でその腕を使わないといけないだろう...!!生きて、お前ができることをするんだ...!!」
「で...できません!!!私には、そんな力は...!!」
イリス「お前にはあるよ。何てったって色をなくしたあの日から、私を救ってくれたんだから。ありがとう。」
イリス隊長は笑ってそう言うと、勢いよく巨人の目にメスを刺した。巨人は雄叫びをあげて、私の腕を噛みついていたのを離し、イリス隊長の頭を噛み砕いた。
「ああああああ...!!!!!」
私はそこからのことを覚えていない。
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アンドリュー(お前はよくやった。俺はお前を誇りに思うよ)
イリス(アンドリュー!!あぁ、...きっとリンなら医療を武器にして死んでいったやつらの想いを継いでくれる...。私は、リンを信じて、それに賭けたんだよ。)
アンドリュー(そうか...。それじゃあイリス、もう行こうか。永遠に色に満ちた世界へ)