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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第1章 日常からの、非日常






『っ、ぁ、!!』


蹴られた背中に鈍い痛みが走る。
とっさにコナンくんに覆い被さった私は、倒れ込まないように地面についた手に力を入れた。


男「っ、うわ、なんだよ!」


『いい加減にして…っ』


子どもを蹴ろうとするなんて。
信じられない。


蹴られた背中の痛みよりも目の前の男への怒りの方が大きい。
これでナンパが成功すると思われていることにも、無性に腹が立った。


「…どうしたんですか?」


そのとき。


『あ、むろさん…っ?』


ナンパ男と私の間に入る人物。
急に現れた安室透に、私は目を見開いた。


コ「安室さん!」

男「な、誰だよ、クソ!」

安「…いけませんね。彼女を蹴っていたように見えたのですが?」


私に背中を向けているせいで、安室さんの表情は見えない。
ナンパ男は少し固まると、バツが悪そうにそそくさと立ち去った。


コ「っ、お姉さん!!大丈夫!?」


『ぁ、だ大丈夫、大丈夫。(夢だし…)」


心配するコナンくんに笑いかえす。
そして安室さんを見た。


(いつから居たんだろう…)


あとをつけられてた…とか?
ありえる……

ポアロで不審者を見る目をしていたもの。


『安室さん、ありがとうございました。』


だけど、来てくれて助かった。

公安として行動する降谷零が脳裏に浮かびながら、お礼を言って立ち上がる。
私に手を差し伸べる安室さんは、喫茶店のときと同じように優しい顔をしていた。


安「いえ、偶然通りかかったら倒れ込んでいるのが見えたので…驚きました。」


コ「お姉さん、無茶しないでよ!」


『ご、ごめんね。でもコナンくんを蹴らせるわけにはいかないでしょ?』


眉間に皺を寄せるコナンくんに困ったように笑いかけながら、だけど夢なのに痛かったな、と考える。


コ「…、お姉さん、名前はなんていうの?」


『…?咲だよ。桜 咲。』


小声で聞いてきたコナンくんを疑問に思いながら答える。
するとパッと明るい笑顔で、大きな声で、彼は私に抱きついた。


コ「咲お姉さん、ありがとう!」


(え、どうしたの?)


コ「…とりあえず、信じるよ。だけどまだ話が聞きたい。」


抱きついたまま小声で、コナンくんが言った。




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