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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン





安「咲が僕ではなくあの男と住むことを選んだのは

…つまり、そういうことですか?」


『そういうこと…?』


って、どういうこと?


零の言わんとしていることが分からなくて。

私が零と住むことを諦めたのは、彼に無理をさせたくないからだ。



頬に触れられたままの手がゆっくりと首筋まで滑る。


ぴくりと反応した私に零はまたキスを落として。



安「あの男に渡したくない。」



渡す、というのが
ただ単に一緒に住むことを指しているのか
それとも違う意味なのか。


安「どうしたら僕の気持ちを信じてくれますか?」


『零…』


(どうしたら…?)


そんなの、わからない。


安「…どうして、信じてくれないんですか?」


『それ、は…』


少し視線を下げようとすると、触れたままの彼の手に力が込められた。


『私に…何でも、話してくれますか?』


信じるのが難しいのは、秘密が多いから。
だけど全部を話すのは不可能だって分かってる。

分かっててこんなことを言う私はいじわるだ。


安「…話せることなら。」


『……』


少し申し訳なさそうな顔をした彼に、胸が痛くなる。
そんなの分かってるのに。


なんでも、なんて。
私だって話せるか分からない。


『…ごめんなさい。わかってます。』


彼は話さないんじゃなくて、話せないことも多い。


安「待ってください、じゃあ

……咲が聞きたいことがあるときには、2つ質問をしてください。
1つには必ず答えます。」


「それではダメですか?」と困ったような顔で聞かれる。

そんなの、2つとも組織に関することを聞いたらどうするんだろうか。


そう思ったけど。


『…わかりました。』


彼がそれがいいと言うのなら、それでいいのだろう。

それに、本当にそれで答えてくれるのなら
零の気持ちが本当であれ、嘘であれ、ハッキリする日がくると思った。


ほっとした顔をした零に、ぎゅっと抱きしめられる。



(もう好きなのに…)



そう思うけど、「私も好きです」と言えないのは自己防衛のためか。








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