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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン





質問。


零に聞きたいことは沢山あって。



安「沖矢昴の事は信じてるんですか?」


『…え、…』



急に聞かれて、考え込む。

沖矢さんから何かを隠されていると感じたことはない。


よく考えたら沖矢さんに対して
零に感じるような不安を感じたことはなかった。


私が求めている事が違うのだから、当然といえば当然なのかもしれない。


沖矢さんは、零と同じくらい優しくて。

…少し意地悪だけど。


キスはされても
恋愛感情というよりは、私を落ち着かせたり
…からかったりする意味合いが強い。



『信じるとか、信じないとか…を、考えた事がなかったです。』


安「でも信じているんですね。」


『それは……』


工藤邸で泣き止むまで抱き締めてくれたこと。

マンションで落ち着かせてくれたこと。

いつも私に助言してくれること。


『……はい。』


色んなことが頭をよぎって。


『でも。それを言うなら私は零のことも信じてる。』


安「咲への気持ち以外を?」


『…っ』


間髪いれずに言われ、口籠った私に
零がため息を吐いた。


安「…すみません。」


だけど、と。
触れたままだった手をゆっくりと離される。


安「あの男の元へは行かないでほしい。」


懇願するように言われて。


安「…なんて。女々しいですね。聞き流してください。」


困った顔で笑って
零が立ち上がった。


安「そろそろ戻りましょう。」


零が私に手を差し伸べて、私はその手を掴む。


『はい…』


なんだかもやもやした気持ちのまま、手を繋いで車に戻った。

助手席に座ってシートベルトを締める。
その動作はゆっくりで。



(私は…どうしたいの…)



零のことが好き。
その気持ちはもう自覚していて。

でも、零の気持ちを疑っている。

疑う要素は十分にあるから。


…だけど。
あんな顔、嘘でもしてほしくないとも思う。



シートベルトを締めて、零が軽く息を吐く。


そして車のエンジンをかけた。






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