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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン






安「ケーキ、美味しかったですか?」


『とっても!』


運転している透さんに笑いかける。

ハンドルを握る姿は本当に格好良くて。


『まさかあれも、透さんが作ってるんですか?』

安「はい。でもレシピを考えたのはマスターですよ。」


ふふ、と笑う透さん。
本当に何でも出来る人だなぁと改めて思う。


『…敵わないなぁ』


最初から敵う要素がひとつもないけれど。


安「咲は僕の出来ないことができますよ。」


『…?透さんにできないこと…?』


そんなことある?

正直思いつかなくて考え込む私の頭を、赤信号で車を停めた透さんがぽんぽんと叩く。


さっき沖矢さんにもされたことを思い出して、もしかして私って子どもっぽいのかなと思った。


信号が変わってまた車を走らせる。


やっぱり、彼に出来ないことなんて思いつかなくて。



(…零)



なんとなく、心の中で名前を呼んで。

綺麗な横顔をじっと見つめた。


本心が知りたい。
信じさせる、って言われたけど。

もし私へ向けられてきた言葉が嘘ばかりだったとしても


本心が、知りたい。



安「今日…何があったんですか?」



透さんから、ポアロで聞かれたのと同じ言葉を投げかけられる。



ジンに会ったこと。


しかも、言葉を交わしたこと。



それを話したら
もしかしたら彼の本音に触れられるかもしれない。



そんな邪な気持ちが出てきて。



『…車、停められますか?』


安「もうすぐ目的地ですよ。」



話してみようかと思ったら、なんだかソワソワしてきた。


それから5分ほどすると少し開けた場所に出て、透さんは車を停めた。

車を降りると、頭上には綺麗な星空が広がっていた。


安「ここに咲を連れて来たかったんです。」


『わぁ…!』


安「綺麗でしょう?」


『こんな素敵な場所があったんですね!』



そこにはいくつかベンチが設置されていて。
私と透さんは並んで腰を下ろした。






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