• テキストサイズ

【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン





安「…?咲?」


『っ!ご、ごめんなさい…っ』


驚く透さんに慌てて謝り、手を離す。

よく考えたら、私から彼に触れたのは初めてだったかもしれない。


何かを言いたそうにした透さんは、そのままお客さんのところへ行ってしまった。


(な、何してるんだろ…っ)


恥ずかしい。

手には透さんの体温が残っていて。
両手で顔を覆うと、深いため息をついた。


(透さんのこと、何も知らない…)


知りたい。

もっと、ちゃんと。


ジンと目が合って

息が止まるかと思った。


思い出しただけでも怖くて。


だけどあれはある意味、透さんの日常でもある。


ストーカーに怯えて泣き出すような私が、そんな世界に耐えられるはずなくて。


ジンを思い出したことで
また震えだした手をぎゅっと握る。



安「…お待たせしました。」


テーブルにカフェラテを置いた透さんが、私の震える手に優しく触れた。


安「一体どうしたんですか?」


強くなりたい。


『何でもないです、ケーキも頼んでいいですか?』


できる限りの笑顔を向けると、透さんは「サービスです」と言ってケーキを持ってきてくれた。







透さんの仕事が終わって、2人でポアロを出る。

ケーキをサービスしてくれた透さんは、結局カフェラテ代も払ってくれて。


『次はちゃんと払います!』

安「格好つけさせてくださいよ。」


格好つけなくても、かっこいいのに。


透さんの車に乗り込むと、「ちょっとドライブしていいですか?」と聞かれた。


『ドライブ?』


安「夜はこれからなので。」


にこりと笑う透さんの笑顔が、何かを含んでいるようで。


『…明日もお仕事ですよね?』

安「明日は休みです。」


そう言われれば、もう反対する理由も無くなった。
透さんと2人でドライブなんて、デートみたいで少し嬉しいし。

そう思って了承すると、嬉しい気持ちが思ったよりも前面に出てしまったようで。


安「そんな可愛い顔をされると、あの男の家にやりたくなくなりますね。」


そう言うと、透さんは車を走らせた。





/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp