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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン







(もう見ない。絶対見ない。)


耳には自分の鼓動しか聞こえなくて。

どうしていたら自然に見えるかを必死に考える。


今すぐ、ここから立ち去りたい。


(大丈夫、向こうは私なんて見てない。)


それを確かめることはできないけど。
普通に考えて、ジンが私を気にする理由はない。


ゆっくりと息を吸って、

ゆっくりと吐いて。


私は立ち上がった。


周りを一切見ずに一番近い出入口に向かう。


そして公園を出たとき、
…目の前には同じく公園を出たばかりのジンがいた。



『!!?』


目が合って。

見てはいけないものを見てしまった感を出してしまって。



ジ「…あぁ?お前…?」


『び、っくり、した…っ。

ま、真っ黒なんですね!』



慌てて、自分が驚いた理由を作り上げる。

…成功した気はしないけど。


ジ「……」


じっと見つめられ、冷や汗しか出なくて。


『す、みません、
失礼ですよね。ごめんなさい…っ』


ジ「…チッ」



泣き出しそうな私に、舌打ちをして去っていくジン。


(…こ、こわい……)


その背中を見送り、
腰が抜けそうなのをなんとか堪えて歩く。


こんな時間に公園にいるなんて聞いてない。

きゃっきゃして遊ぶ子どもの中に居れば目立つだろうに。


誰かに助けを求めたくて、なんとなく手に取ったスマホを持つ手は震えていて。



「乗ってください」



震える右手を左手で包んだとき、
真横に停まった車から沖矢さんが顔を出した。




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