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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第7章 ジン






『…もしもし?』


陸《あ!咲!!》


スマホから聞こえる陸の声は、なんだか切羽詰まっているようで。


『どうしたの?』


陸《どうしたじゃないだろ!お前がどうしたんだよ!》


『え??……』

…あ。

会社休んでること、言ってなかった!



陸は昨日まで出張だったようで。

今日出社して、
私が強請ったお土産を渡しに行くと、休みを取っていることを聞かされたのだという。



陸《何かあったのか?》


『ごめんっ、実は色々あって…話すと長くなります…。』


陸《…とりあえず今は大丈夫なんだよな?》



心配してくれる陸に、大丈夫だと伝える。

記憶がないと最初に相談してから、色々と気にかけてくれていたのに。


申し訳なさすぎる。

少し怒られたけど、
後日きちんと説明する約束をしたら納得してくれて。

電話を切った。





そして、

夢のことは忘れてしまっていた。










それから夕食の準備をして。

まだ夕方には早かったけど、簡単に化粧をするとポアロへと出かけた。



安室さんの部屋は落ち着くけど、ひとりでいるとまだ事件のことを思い出して怖くなることがあって。


どこでもいいから、人のたくさんいる場所に行きたくなった。




暫く歩いていると公園が見えて、そこのベンチに座る。

遊具では子供たちが楽しそうに遊んでいた。


『…ふぅ……』


穏やかな空気に包まれて、深呼吸する。
ひとりでこんなにのんびりするのは久しぶりだった。



『…ん?』


ふと、向かい側のベンチに目を向けると
穏やかな空間に相応しくない格好をした人が目に付いた。


真っ黒なコート。
真っ黒な帽子。

真っ黒な……


——ドクン


心臓が嫌な音を立てる。


(え、、うそ…)


この世界でヤバイ人ランキング上位に位置するその人は、誰かと電話で話していて。


そして、正面のベンチに腰を下ろした。


(ジン…?)


正直、存在しか知らないけど。
ヤバイ人だということは分かる。


(大丈夫…離れてるし…)


私は不自然にならないように細心の注意を払いながら、ゆっくりと視線を外した。










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