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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第1章 日常からの、非日常






(名前くらい、そんなに気にしなくても・・っ)



冷や汗をかきながら、必死に笑顔を貼り付ける。

ここまで焦るなんて、もはや不審者でしかないことは自分でも痛いくらい分かっていた。

どうしようかと目線を泳がせると、こちらを見つめる安室さんと目が合う。



(ああ、積んだ・・・・)



夢だけど。
いや、でも別に、夢だし。


”実はね、これは私の夢なの。”



・・・・。



だめだ。言えない。
何か大事なものを失う気がする。



夢なのに。



『コナンくん・・・・話したい事があるから、ちょっと公園に行かない?』



せめてコナンくんにだけは伝えようと、私は不審者としては完全にアウトな発言をしてしまった。


「・・うん、いいよ」


一瞬混乱したような困った顔をしたコナンくんは、明らかに警戒した面持ちで頷いた。














(な、なにも注文できなかった・・・・)



笑顔を貼り付けた安室さんにお辞儀をしてすぐにポアロを出た私は、コナンくんと一緒に公園に来ていた。


ここは私が最初に雨の中立っていた公園。


もうほとんど暗くなった空を見て、
私はやっと非常識な時間帯に小学生を連れ出していることに気が付いた。


「・・・・で、お話ってなぁに?」


子どもらしく首を傾げるコナンくん。

明日にするべきかも、とも思ったが、今の彼がそれに納得するとは思えない。



(これは夢。これは夢。これは夢。)



自分に言い聞かせるように心の中で呟き、深呼吸する。


『じ、・・・じつは・・・・・・』


じっと見つめてくるコナンくんをまっすぐに見つめ返し、意を決して私は口を開いた。










「夢・・・・?」


すべて話し終えると、コナン君が呆れた声を出した。


「えーっと・・・・お姉さん、」


頭、大丈夫?


最後まで言い切らなくても、言いたいことが分かってしまって悲しい。


『い、いいの。夢だし。』


「現実だよ」


半分投げやりになった私にコナンくんがスッパリと言い切る。


『コナンくんって、・・・・新一くんでしょ?』


それなら、と
信じてもらおうと思い彼の本名を口にして彼の顔を見る。


「・・・・!?」


だけど信じてくれるどころか、彼は私のことを睨みつけていた。




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