第6章 弱さ *裏
安「…咲さん。」
なかなか涙の止まらない私を抱き締めたまま。
安「すみません。」
何故か謝られて、一瞬疑問に思った。
だけどその理由はすぐに分かって。
『っ!?ん、!』
身体を離されたかと思うと、すぐに唇を塞がれた。
『あ、むろ、さ…っ』
角度を変えて少し深く口付けられると、心臓が大きく跳ねる。
涙は止まっていて、至近距離で安室さんに見つめられた。
安「…私が公安なのはご存知ですよね?」
『っ、ぇ、?』
知っているけど。
それがどうしたのか分からず、疑問の目を向ける。
安「念のため、今日1日貴方に護衛を付けました。」
『護衛…?』
そこまで言われて、全てを理解した。
知ってるんだ。安室さんは。
沖矢さんといたことを。
安「あの男と住むんですか?」
『それは…!
コナンくんが、勧めてくれて…っ』
咄嗟に嘘を吐いてしまう。
でもコナンくんにも話しているし、まるっきり嘘なわけではない。
そう自分に言い聞かせながらも目線を泳がせる。
安「あの男と住むんですね。」
『部屋をお借りするだけです!』
安「ここでは嫌ですか?」
至近距離のまま、真っ直ぐに見つめられて。
やめてほしい。
心臓がもたない。
『嫌なんかじゃ、!』
安「では、何故?」
とりあえず離れてほしい。
そんな心の声が彼に届くはずもなく。
…届いたとしても、離れてはくれない気がした。
『少しの間、お世話になるだけです…っ』
もう耐えられなくて。
離れてもらおうと安室さんの体を押し返すと、逆に体を押され
私の体はソファーに沈み込んだ。