第6章 弱さ *裏
暫く何でもない話をしながら、コナンくんと笑い合う。
そして、梓さんが来週から出勤するのだと教えてもらった。
『よかったぁ。心配してたの。』
コ「咲さんもなかなか怖い思いしてるけどね?」
もうちょっと自分を大切にしてよ、とジト目で言われてぎこちない笑みを返した。
怖い思い…
コナンが言ってるのはポアロの事件のことだけど。
そう言われて私が思い出すのはストーカー事件の事で。
コ「…咲さん?」
表情を曇らせた私にコナンくんが不思議そうにする。
(コナンくんは沖矢さんから聞いてるのかな…)
家の事も言わないと、と思うけど。
そういえばコナンくんには何て話してあるんだろう。
コ「…ごめんね、思い出して怖くなっちゃった?」
伺うように聞いてくるコナンくん。
違うけど、なんて答えたらいいか分からなくて言葉に詰まる。
『コナンくん、…家のことなんだけど…』
コ「あ、うん。水道が使えないんだよね?」
大変だね、と言う彼に
なるほど。そういうことになっているのか。
と納得した。
コ「…でも他に理由がありそうだね?」
だけどさすがに洞察力の優れた彼を誤魔化すことはできなくて。
それに、部屋を借りるのに本当のことを話さないのは良くない気がした。
…きっと沖矢さんは、
私に気を遣って話さないでいてくれたんだと思うし。
外で話して、ここで泣いてしまわないか少し心配だけど。
私はコナンくんに簡単に話すことにした。
コ「……」
あまり思い出さないように、
ストーカーがいて、捕まったこと。
それから、
部屋に入られて怖かったから、引っ越すまでの間お世話になりたいことだけを一気に話した。
コ「…だから、ずっと何かに怯えてるんだね。」
コナンくんに言われて目を見開く。
そんなにわかりやすくしていただろうか?
『自分では一応、大丈夫なつもりなんだけど…』
〈貴方は弱い〉
沖矢さんに言われた言葉が頭に浮かんだ。
コ「もっと早く聞きたかった。」
コナンくんが顔をしかめて私を見る。
『…ありがとう』
何があったかは聞かないでいてくれる彼の優しさを感じて。
コナンくんは、「家にいるなら、いつでも会えるね!」と笑ってくれた。