第6章 弱さ *裏
『わかりました…ありがとうございます。』
お礼を伝えると、沖矢さんの顔が意地悪に笑った。
沖「おねだりも歓迎しますよ。」
『っし、しません!!』
まだ言うか!!
と、顔を赤くしながら軽く睨みつける。
だけど沖矢さんは楽しそうに笑うだけで。
(絶対私で遊んでる!)
それは間違いない。
だけどそんな沖矢さんと居るのが、居心地が良いのも事実だった。
『…沖矢さんだって、何かあったら言ってくださいね?』
私ばっかり甘えてるし。
そう思って言うけど、彼に出来ないことが私にできるだろうか。
沖「では、キスしていただけますか?」
『なんでですか…!!』
試すような口調で言う沖矢さんに、もう知りません!と言って立ち上がる。
クスクス笑う彼は、それでも「送りますよ」と言ってくれた。
またまた甘えて、沖矢さんに車で送ってもらう。
「ひとりで大丈夫です」という私の言葉は、今日に限っては自分でも説得力が無いのを感じた。
これは本当になにかお返しをしなければ。
『ありがとうございました!』
ポアロの前で降ろしてもらい、助手席の窓からお礼を告げる。
沖「咲さん、」
私に向かって手を伸ばす沖矢さん。
何かと思って少し身を乗り出すと、頭をぽんぽんと叩かれた。
『…?』
沖「…今日はこれで。」
そう言って走り去った沖矢さんを、私は疑問に思いながら見送った。
安室さんが来るまでは少し時間がある。
ポアロの中で待とうか、このまま前で待とうか。
コ「…咲さん?」
『え?…っコナンくん!』
コ「咲さん!久しぶり!」
名前を呼ばれて振り返ると、そこには学校帰りのコナンくんがいた。
コ「手、大丈夫?」
『あ、大丈夫だよ。ごめんね心配かけて。』
久しぶりに見るコナンくん。
なんだか嬉しくてポアロに誘うと、快く了承してくれた。
コ「今日は安室さんと待ち合わせ?」
席に着くとすぐに、仲良くしてるんでしょ?と言われる。
(そっか、コナンくんは沖矢さんと繋がってるもんね。)
『うん。』
コーヒーを2つ注文しながら、今日はカフェインの摂り過ぎだなと思った。