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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第5章 沖矢さん






そうこうしていると、すぐに目的地に到着した。

沖矢さんの住む家から私のマンションまで、もともと歩いて20分ほど。
車で向かうとなると、その距離はあっという間だった。


『…っ、すみません、少し…待っててください、』


マンションの前に着くと、沖矢さんに伝えながらシートベルトを外す。


マンションが近付くにつれて感じていた恐怖。

さすがにここまで来ると、それに気付かないフリもできなくなっていた。


沖「私も行きます。」

『っ、あ、そうですよね。
すみません、部屋で待ってた方が…』


てっきりマンションの前で待っていてくれると思ったけど、沖矢さんはそのまま駐車場に車を停めた。



そんなに心配することはないと思っていたのに。

考えないようにしても、あの時のことが頭に浮かんでくる。


嫌なドキドキがだんだん大きくなって、なんとも言えない気持ちのまま口が勝手に言葉を紡いだ。


沖「咲さん」

『はい、っ、
行きましょう、急がないと、遅く…っ』

沖「咲さん。」


はい、と返事をしようと沖矢さんを見たとき


不意に。


沖矢さんはわたわたと車を降りようとしていた私の右手を強く引き、触れるだけのキスをした。


え?いまキスしたっけ?
と思うほど一瞬の出来事。


『…』


沖「大丈夫ですよ。行きましょう。」


『…あ、はい…』


色々なことを処理出来ず、フリーズしかけた頭のままとりあえず返事をして車を降りる。

恐怖心が少し和らいだのを自覚することもできないまま、部屋へと向かった。


部屋の前にきて。
以前、安室さんが鍵を開けてくれたのをぼんやりと思い出す。



(…大丈夫。)


もう部屋に人がいることはない。

怖がっても沖矢さんを困らせるだけ。


(大丈夫。)


あまり深く考えないように鍵を差し込むと
沖矢さんがそっと、私の手ごと鍵を握って回した。


驚いて沖矢さんを見るけど、
彼はその流れのまま先に玄関に入って。


沖「先に上がってもよろしいですか?」

『あ、はいっ』


返事をするとすぐに部屋に入る沖矢さんを、慌てて追いかける。

沖矢さんは安室さんと同じように、部屋を隅々まで確認してくれていた。


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