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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第5章 沖矢さん





向かい側に座り直した沖矢さん。

まだドキドキしている心臓を落ち着かせる。


私が泣いてしまったから。
私が怖がったから。


そう思うと、彼の行動を責める気にはならなかった。

…キスをする必要があったのかは謎だけど。

それでも、彼はきっとただ私の気持ちを軽くしようと行動しただけで。

つまりそれは私のためで。

やっぱり、責める気になんてならない。


沖「おねだり、待てませんでした。」


ふっ、と笑う沖矢さん。

(おねだり…?)

なんの話か、と思考を巡らせる。
そして辿り着いた答えに、また一人で顔を赤くした。

『あれは!違うって…!』

沖「これは、私からの…
そうですね、解決祝いにしておきましょう。」

私の話を聞いていないのかわざとなのか。
恐らく後者だとは思うけど。

だけど沖矢さんがそう言いながら差し出した茶色い紙袋に、私の意識は持っていかれてしまった。


『これは…?』

沖「解決祝いです。」

『解決祝い…』


ずっと気になっていたそれを渡されて、思わず素直に受け取る。

中を確認すると、ふわふわのタオルやパジャマ、シーツ、枕カバーや、ヘアバンド…

『…これ…』

沖「貴方の部屋を準備したので、揃えました。」

『揃えた…?』

ものすごく驚いた。
本当に。
だって、どれもシンプルながら可愛らしいものを選んである。
これを全部沖矢さんが…?

(一体どんな顔で買ったの…!)

可愛いヘアバンドを手に取り、沖矢さんを見る。

(……)

沖矢さんは涼しい顔で、冷めてしまったコーヒーを飲んでいた。


あ、普通に買いそうだ。

と一瞬思ったけど、
それは言わないでおいた。


『いただいていいんですか?』


どれも好きなデザインだったので、嬉しくなる。
これだけ揃えるとそれなりにお金もかかったはず。


沖「咲さんの為に用意したものです。
受け取って頂けると助かります。」


そう言われて、はっとした。

(あ、れ?部屋を準備した、って言った…?)

沖「お部屋は、前回泊まられたお部屋です。」

『ま、待ってください!』


どんどん進む話に、
私は慌てて立ち上がった。


『相談があります!』

沖「安室くんと住むのはお勧めしません。」


相談する前に告げられた答えに、私は目を見開いた。









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