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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第5章 沖矢さん





『沖矢さん…』

やっと落ち着いて、涙も止まって。
私はそっと沖矢さんを見た。

沖「……」

『沖矢さん…?』

沖「…以前も思ったのですが。」

頭に手を乗せたまま、沖矢さんが何かを考えている。

沖「貴方の泣き顔は本当に可愛らしいですね。」

『…え、』

沖「怖い思いをされた方に言う言葉ではありませんが。」


(泣き顔が…可愛い?)


思いがけない言葉にぽかんとしてしまう。
思い出して恐怖しか無かった頭の中が、ある意味真っ白になった。


『っな、何言ってるんですか…っ』


褒め言葉なのかそうじゃないのかも判断できない。

分かるのはただ、なんだか恥ずかしい、ということだけ。


沖「こんなに可愛い顔をさせているのが、どこぞのストーカーというのが納得いきませんね。」


『ちょっと、』


真顔で言い続ける沖矢さんを制止しようと口を開く。
でも、その言葉は半分しか発することができなかった。

『ん、っんんっ…!』

優しいキス。
触れて、少し啄むようにされ、それを繰り返される。

突然のことに戸惑っていると、
頭に乗せられていた手がゆっくりと耳へ移動し、そして首筋に触れた。

『…っ!ん!!』

ぞくり、と。

不快感が全身に広がる。
と同時に、あの男の唇の感触を思い出した。


『お、き…っ!やめ!』


沖「目を開けてください。」


首筋を優しく撫でるのをやめてくれない。

恐る恐る目を開けると、そこには私を真っ直ぐに見つめる沖矢さんの瞳があった。


『おき、や、さん…っ』


沖「はい」


私の呼びかけに答え、彼は私の目を見つめたまま、再び唇を塞ぐ。
同時に、またゆっくりと首筋を撫でられた。

『んん…っ!』

目を逸らすことができなくて、心臓がドクドクと音を立てる。

そこにはもう不快感なんて無くて
少し冷たい指の動きに神経が集中したとき、沖矢さんの舌が私の唇を割ってゆっくりと口内に入ってきた。


『んぅ…!ぁ!』


決して激しくはなくて。
優しいその動きに、それでも耐えられなくていつの間にかギュッと目を瞑っていると、唇を離された。


沖「目を開けてください、と言ったはずですが?」


耳元で囁かれて真っ赤になった私が体を押し返すと、沖矢さんが満足気に笑った。





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