第1章 日常からの、非日常
そして何度目かの朝を迎える。
『・・・・なが、い・・』
あれ?もしかして私、昏睡状態なの?
あまり考えないようにしていたけど。
私がコナンの世界の夢を見始めてから、夢の中で早1週間が経っていた。
土地以外のことはそのまんま現実と同じで、
仕事も、プライベートも、なんならこれが現実でもいいわ、というくらいいつも通りに過ぎていった。
だけど。
ここは米花町。
そろそろ自分の夢の長さが不安になってきた。
もしかして、もう覚めない?
そんな考えに首を振る。
(まだ誰一人として主要キャラに会ってないな・・)
キャラに会うまで、起きたくないとか?
とりあえず、起きたい。
もう夢はおなか一杯。
可能性はつぶそう、と
私は週末に毛利探偵事務所を訪ねてみることにした。
『・・・・っと、ここ、ね』
<喫茶 ポアロ>と書かれた喫茶店の二階。
そこには大きな字で<毛利探偵事務所>と書かれていた。
(意外と家から近かった。)
探偵事務所の窓は開いている。
きっとあの、毛利のおじさんがいる。
二階を見上げたまま、さてどうするかな、と考えた。
(私には依頼することがないんだよね・・・)
誰かしら出て来てくれたら助かるけれど、そんな様子はない。
夢なんだからどうでもいいかもしれないけど。
やけにリアルなせいで、どうでもいいと思えない。
と、なると・・・・
(喫茶店でお茶、ってのも悪くない・・)
私は目線をずらして、探偵事務所に入るよりも遥かにハードルが低い1階の喫茶店を見た。
ちょうど薄暗くなってくる微妙な時間帯のせいで中はよく見えなかったけど、ドアには<OPEN>の文字。
『うん。そうしよう。』
確か絶品のハムサンドがあったような?
そんなことを考えつつ、私は若干緊張しながらドアを開いた。