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【名探偵コナン】 ある意味、それは。現実逃避。

第4章 ストーカー





『ひっ、!』

抱きしめてきたのが誰だか分からず、
自分を守る体勢のまま体をびくりと震えさせる。

私の顔を両手で包まれ、
顔を上げられて目に映ったのは安室さんだった。


『あ、むろ、さ…っ?』


安「大丈夫です。もう大丈夫だから。」


力強く何度も大丈夫だと言われる。

あの男と会ったのだろうか?
それとも入れ違い?

まだ混乱している頭には疑問が浮かぶが
そんなことよりも、抱きしめてくれたのが彼だったという安心感がものすごかった。


安「大丈夫。ゆっくり息をして…」


またふわりと抱きしめられて、背中をとんとん、とあやすように叩かれる。


そうだ、私。
安室さんに電話をかけたところだったんだ。


弱々しく抱きしめ返す私に、安室さんが応える。

暫くそうやっていると、玄関の方で音が聞こえた。


びくっ!と、
咄嗟に安室さんを抱きしめる腕に力を込める。


〈始末しなきゃね?〉


不意に男の言葉が蘇って、はっとした私は安室さんを突き飛ばした。



…正しくは、突き飛ばそうとした。



突き飛ばそうにも、安室さんは体を離すことを許してはくれなかったからだ。



安「…咲さん?大丈夫ですよ。」

とんとん、とまた背中を叩かれる。

視線だけでリビングの入り口を見ると、見知ったスーツ姿の男性が立っていた。



『か、かざみ、さん…』


自分でも驚くほど震えた声で彼の名前を呼ぶ。
初対面だとか、そういうことを考える余裕はなかった。


風「…私のことをご存知なんですね?」


少し驚いたような顔をされるけど、それはすぐに真顔に戻って。


風「降谷さん。指示通りに完了しました。」

安「ああ。助かった。」

風「…その方は被害者の方ですか?」


少し考えてから尋ねる風見さんに、安室さんが「ああ」と短く返す。

風「…ここで申し上げていいのかわかりませんが、」

安「なんだ」

風「犯人はこのマンションの住人で、被害者はそちらの方を含めて3名いるようです。」


(さん、にん…?)



風見さんの言葉に驚く。
私だけじゃなかったのか。



風「ただ、他2名についてはポストに手紙を入れたのみで、それ以外の接触はありませんでした。」


安「…そうか。」


安室さんの表情からは、感情を読み取ることができない。


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