第4章 ストーカー
嫌なことを忘れるために仕事に打ち込む。
今夜はどうしようか。
友人の家に泊めてもらう、としても…
(あ、陸の部屋…だめかなー)
相手は男だけど。
お互い、そんな意識はないようだし。
だけど営業部に行くと、「あいつ月末まで出張だよ。」と別の同期から伝えられた。
[出張してるなんて知らなかった!]
別に報告の義務はないけど、
今夜の頼みの綱がダメになったことがショックでメッセージを送る。
[言ったけどな!]
陸からの返事に身に覚えがないようなあるような気持ちになるけど、とりあえずお土産を催促する返信だけしておいた。
夜。
とりあえず約束していた沖矢さんの家に向かう。
帰宅するときには連絡を、と言われていたため
安室さんにも友人の家に行くとメッセージを送っておく。
それがいいと思います、と返信がきたけど
泊まるわけじゃないんだよね…
戸締りをすれば大丈夫か。
昨日はきっと戸締りを忘れていたんだ。
そう自分に言い聞かせて、暗くなる前にと、道を急いだ。
『こんばんは!』
沖「お久しぶりですね。」
沖矢さんの顔を見て、ほっとする。
着く頃には薄暗くなっていて、怖くて仕方なかった。
リビングに通されると、そこにはいつかのように素敵な料理が並べられていた。
『わぁ…!いつもありがとうございます!』
来る途中で美味しそうなチーズを買ったのでそれを手渡し、そのまま席に着く。
沖「食べましょうか。」
チーズは後で、と微笑まれて、いただきますと声を揃えた。
沖矢さんはやっぱりポアロの事件のことを知っていたようで、左腕の包帯を心配してくれた。
触らない限り痛みはないけど、お風呂の時が困る。
そう言う私に「いれてあげましょうか?」とからかって言う沖矢さん。
この世界の男性は、チャラい率が高いのか。
もう、と怒る私を満足そうに見て。
だけどあまり無理をしてはいけませんよ、と釘を刺された。
沖「ところで…何かあったんですか?」
『え?』
沖「来たときに、怯えているように見えましたので。」
軽い感じで聞かれて。
私はつい、今朝の出来事を話した。