第4章 ストーカー
『そ、そうです、よね!すみません…っ
なんでも、ないです!』
できるだけ明るい声で言い、じゃあ、と電話を切ろうとする。
安《待って!切らないでください。
何があったか話してもらえませんか?》
『な、なにもないです。…っこわいゆめ、をみて!ごめんなさい!』
ここで安室さんを頼るのは違う気がした。
昨日あんなことがあったんだから。
でも、警察だと思えば違うこともないのな…と思いながら、とりあえず取り繕うと、電話の向こうからため息が聞こえた。
安《いまどこに?》
『…?コンビニ、です』
安《10分で向かいます。動かないでくださいね。》
え、と驚くと、電話は切らないように言われる。
吐く息すら震える状態で。
今から来てくれるという彼を頼らない選択肢は、もう無くなっていた。
しばらくすると、見慣れた車が駐車場に入ってきた。
慌てて車に駆け寄ると、安室さんがほっとして…でもすぐに険しい顔をされた。
安「とりあえず、乗ってください。」
『あ、ありがとうございます…!』
昨日あんな風に閉めたドアを、今日こんな風に開けることになるなんて。
なんだかものすごく恥ずかしい。
『あ、あの!ごめんなさい!入れるのは安室さんくらいかと思ってしまって!』
安「入れる…?」
まだ震えている手をゆっくりと握られる。
安「何があったんですか?」
優しく問われて、私は朝のことを全て話した。