第4章 ストーカー
お言葉に甘えて、安室さんの車に乗せてもらう。
『ふふっ』
安「どうしたんですか?」
思わず笑ってしまった私に、何故か安室さんも楽しそうに私を見た。
『こんなに何回も乗せてもらって…安室さんファンの人に見られたら、リンチされるかも(笑)』
ファンなんて…と言いながら、車を発進させる。
安「リンチなんてさせませんよ。僕が守ります。」
『だから、そういうところですよ!』
安「え??」
(天然のタラシかっ!)
『そういうこと言われると、女の子はドキッとするんですよ?
気をつけてください!』
なんか心配になってきた。
…無意識な安室さんに落とされる女の子が。
いや、安室さんのことだ。
わかってて言ってるに違いない。
女の敵め。
安「睨まないでくださいよ。笑
可愛いですね。」
むー、と安室さんを見つめる私と、困ったような顔をしながら実は全く困ってない安室さん。
赤信号で車を停車させ、
彼はそのまま自然な動きで私にキスをした。
触れるだけのキス。
『!?』
安「…咲さんにしか、しませんよ?」
頭にぽんぽん、と触れてから離れ
車を発進させる。
『!!?』
それから、「着きましたよ?」と言われるまで、私はただただ固まっていた。
何も言わずに、とりあえずシートベルトを外す。
その様子に少し心配になったのか、安室さんが私の右手を掴んだ。
安「咲さん?」
いや、
わたし、
そんな軽い子じゃないんだってば…っ
安「怒ってますか…?」
少しシュンとしたような雰囲気になる安室さん。
それも計算のうちだとしたら、もう怖さしかない。
チラリと安室さんを見ると、しっかりと目が合った。
『お、おこってはないです!』
安「本当に?」
またすぐに視線を外すと、両手で顔を安室さんに向けられた。
両手で顔を包まれたままで、どこを見たらいいか分からない。
『は、離してください…っ』
ドキドキとうるさい心臓。
ぜったい顔赤い。
観念して安室さんの目を見ると、もう逸らせなかった。
安「好きです。」
真っ直ぐ、私の目を見て。
安室さんが言った。