第4章 ストーカー
次の日も、その次の日も。
私はポアロで夕食をとっていた。
安「お待たせしました。」
目の前に並べられる美味しそうな料理に目を輝かせる。
『あーもうずっとここで食べたいです!』
安「ずっとここで食べてください。」
あんな事件があったので、お客さんは少ない。
ひどい営業妨害だな、と考えていると
安室さんはニコリと笑ってカウンターに戻っていった。
なんでも、梓さんが私以上にショックを受けていて、暫くお休みされるらしく。
夜は安室さんが毎日出る予定だとか。
(梓さん、大丈夫かなぁ…)
ぼんやりしていると、鞄の中でスマホが震えた。
[明日、食事にいらっしゃいませんか?]
開くとそこには、沖矢さんからのメッセージ。
何かあったのだろうか?
それとも、ただのお誘い?
一瞬疑問が浮かぶけど、
いくらポアロは美味しくて雰囲気も好きだとはいえ、毎日はさすがに気がひけると思っていたところで。
[いいんですか?是非伺いたいです!]
素早く返事を返すと、沖矢さんからもすぐに了解のメッセージが届いた。
(安室さんのことも相談しなきゃ…)
なんとなく顔を上げると、安室さんと目が合う。
微笑まれて、私も微笑み返す。
(こうやって、何人の女の子を落としてきたのかしら…)
先日の安室さんの部屋での出来事を思い出し
まぁいいか、と料理に箸を入れるのであった。
それからもお客さんは増えず、
私が食事を終えるころには、他のお客さんは1人も居なくなっていた。
『ごちそうさまでした!』
レジに向かうと、今日も美味しかったです!と安室さんに力説する。
安「よかったです。咲さんがいらっしゃると、僕も嬉しいですし。」
『売り上げが伸びるからですか?』
安「そうですね。次は一番高いものをお願いします。」
顎に手を当てて考えるフリをする安室さん。
そんなこと言われたら、大抵の女性は高いものを頼むだろう。
(ホストかっ)
私が笑っていると、安室さんも冗談ですよ、と笑う。
そして、今日はもうお店を閉めるから送っていくと言ってくれた。