第3章 ポアロ
〜降谷side〜
咲さんを病院へ連れて行き、治療中に風見に連絡を済ませる。
一通り片付くと、俺は待合室で頭を抱えた。
(なんなんだ…)
桜咲。
調べたが、普通の一般人だった。
なのに江戸川コナンや安室透のことを初めから知っていて。
更には、それを知っていることを隠そうとする。
それに。
〈安室さんならなんとかしてくれると思いました〉
何故ほとんど面識がない筈の俺をあそこまで信用できた?
怪しいと思って疑っていても、
公園ではコナンくんを守り。
今日は強盗に立ち向かっていた。
悪意なんて最初から無くて。
〈ありがとうございます!〉
ぱっと明るく笑う彼女の笑顔を思い出す。
どうしようもなく気になる存在。
彼女が診察室から出てくるのを感じ、俺はまた「安室透」を演じた。