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【とうらぶ】我が家の燭さにが現世で出会ったら

第10章 君と歩む世界



「...その、ですね、名前で呼べないのはあの、」
「......」
「苦しくなるんです!長船さんが好きすぎるから!名前で呼んじゃったらどうなるのか...どう、なるのか...」

私は思春期か何かか?もう成人してウン年も経っているのに。そういえばいつぞやに、もう結婚して子供もいる友人に「お前は男慣れしてないな」と笑われたことをぼんやりと思い出す。
そう!それもある!私は!

「...上手く言えないんですけど、慣れてなくて...」
「でも、ほんとちゃんと頑張るんで...ごめんなさい...」
「...み、みつただ、さん」

呼び捨ては無理!!!!
相変わらず敬語!!!!
しかももう目を合わせてるのも無理で瞑ってしまった!!でも頑張っ...た、よね...?全部本当の事を言った!!!!彼は無言だけど!!!!お願い!なんか言って!!!!!!!!!!
...恐る恐る目を開けてみる...と、完全に目が開く前に長船さん...光忠さんの手が私の目を塞いでしまった。え!なんで!!??
何も見えなくなって慌てる。ありのままを打ち明けた恐怖から彼がどう思ったのか知りたいのに!

「み、光忠さんが見えないです!」
「......今は、まだだめ」
「なんでですか!」
「なんでって......はぁ...」

小さくため息をつかれてしまった。呆れられているんだろうか...幻滅してしまっただろうか。それに思わずビクリと反応した私に気づいたのだろう、光忠さんが目を塞いだ手を離すとそのままぎゅうと抱き締めてきた。その体温がいつも以上に高くて驚く。

「違うんだ...その、今すごく格好悪い顔をしているから...」
「え」
「君はさ」
「...はい」
「落としてから上げるタイプなのかな?」
「はい??」

なんのことだと思っているとゆっくりと私に顔を見せてくれた。
...真っ赤だ。しかもなんていうか、これは私の勘違いではないと思いたいんだけどその顔は...凄く...

「...嬉しいな」
「......」
「君がそんな風に思ってくれていたなんて」
「そんなに僕の事が好きなの?」

なんて事聞いてくるんですかね!!??
そうですよ!!大好きすぎてしんどいから名前すら呼べなかったんですよ!!!!自暴自棄になって言い放ってしまった私に光忠さんは楽しそうに笑い声を上げた。

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