第12章 もう一度、もう二度と
「ふふふ、本当にありがとう!」
「いや、こちらこそ...ありがとう...」
「参ったな...惚れ直しちゃったよ」
「お...おう...」
相変わらず真っ赤な君を抱きしめる。僕はなんて幸せ者なんだろうか。また彼女から幸せを貰ってしまった...。幸せにしたいのは僕も同じなのにな。腕の中に収まって大人しくしている姿がまた愛おしくてつい頭を撫でてしまう。すると、ふいに遠慮がちな細い腕が抱き返してくれた。
「あの、さ」
「なんだい?」
「...光忠さんの事、大好きだよ」
突然の告白にドキリとして一気に体温が上がってしまう。今日はどうしてしまったんだろう、これ以上に幸せをくれて君は僕をどうしたいんだ。
「大好きじゃなかったら、こんなことしない」
「いつもの私なら、投げ出すことばっかりだけど、それをしないのは...光忠さんだからだよ」
「私も、ちゃんと幸せだよ」
今、僕はどんな顔をしているのかな
格好悪いという事はもうわかってる、けど。
それでも構わない。
気を遣うでもない心底幸せそうな君の笑顔の前では、僕の格好付けなんて形無しだ。
この子を幸せに出来ている、もう一度愛した子の為に頑張れる、だから.....もう二度と間違わない。心の中でひっそりと強く誓った気持ちを一生忘れない。
温め直した朝食をとりながら、昨夜酔いつぶれた僕が無くしていた記憶たち...漏らした言葉たちを君に聞かされて恥ずかしさのあまり頭を抱えるまであともう少し。