第4章 覚悟を決めて伸ばした手は
「実際に長船さんから報告があったわけじゃないでしょう?」
「第一あんなにお互いの事を話し合って励ましあって来たのに報告しないなんておかしいじゃない」
「.........」
そうだ
そうだった、本当かはともかくとして長船さんは礼節を重んじる律儀な人だ。それなのに報告が無いのは確かにおかしな話だ。
それに
””多少なりとも推測や想像はするのは仕方ないにしても決めつけは良くない。あとから”こんな人だとは思わなかった”なんて言われても知ったこっちゃない””
初めましてのあの待ち合い場で長船さんにそう力説したのは他でもない私だった。
危なかった、何より嫌う事を私自身でする所だった、場合に寄っては長船さんを傷つけてしまったかも知れない。
「...そう、ですよ、ね...」
「うん」
「先輩、ありがとうございます」
「うん、頑張って!」
「...なんで先輩まで泣きそうなんですか」
「だって心配だったんだもの、仕方ないでしょ!」
「はは、すみません」
「いいの、実はね…私もちょっと前に彼氏とすれ違いがあったから他人事には思えなくて」
「え、なんですかそれ、話聞きます??」
先輩がいてくれて心底良かったと思う。
私一人では落ち着けることも出来ないままきっと長船さんとは...。
これからは聞いてみないとどうなるのか本当にわからないから、正直怖いけれど...もう気まずさから逃げて曖昧にはしたくない。
目を背けてはいけないのだ、私も長船さんみたいにとまでは行かなくても...向き合うべき事にはきちんと向き合ってこれ以上悔いを残さないようにしたい。そんなふうに私も生きていきたいのだ。