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小さなお伽噺【BASARA短編集】

第4章 ■遣らずの雨(佐助/微裏/現代)■



「ほら、部屋に戻るよ」と半強制的に、先程の部屋ではなくストーカーの寝室らしき部屋へと連れていかれた私。

そこで渡されたものはーーーー



「はい、ちゃん。こっちがタオルで、こっちは替えの服だからね」



……身体をすっぽりと包む真っ白で大きなバスタオルと、シンプルで可愛らしいワンピースでした。

数ある男の部屋の中からよりにもよって寝室らしき部屋に連れていかれたせいで、これからどんな酷い目に遭うのかと怯えていた私は思わず拍子抜けしてしまう。



「…………」

「ちゃん、早く着替えないと風邪引いちゃうよ?」


「……そ、それは……その…」



そうは言っても、見ず知らずの男の前で服を脱げるわけがない。
ましてや相手は紳士ではなく、私を半年以上も執拗に付きまとってきたストーカーだ。

……だから、絶対に脱ぎたくなんて…………



「ちゃん自ら脱ぐ気がないなら、俺様が無理矢理にでも脱がせちゃうけど?」

「……い、嫌がることはしない、って……言ったじゃないですか……!!」


「それとこれは話が別!!そうでもしないとちゃんが風邪引いちゃうでしょーがっ」



ぴしゃりと真剣な表情で注意されれば、まるで私が悪いことをしてしまっているような気分になってしまった。



「ほら、ちゃん?……脱ぐの?脱がされたいの?」

「……っ、脱ぎ、ます…………から……」



ーーーーストーカーに服を脱がされるのだけは死んでも御免だ。
そう思った私は覚悟を決め、その場で自ら服を脱ぐ決意をする。



「……」



とはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。

私はストーカーに背を向けて、必死にタオルで身体を隠しながら雨で濡れてしまった服を脱いでいった。
上の服を脱ぎ、肌着も身体に張り付いて気持ち悪いため脱ぎ捨てていき……と、順調に着替えが上手くいっていたはずの私の視界に、不意に微かな陰りができる。

……まさかと思い、後ろへ振り返れば……



「ーーそういえば、逃げ出そうとした罰がまだだったよね?」

「っ!?」



当たっていて欲しくなかった予想が見事に的中してしまう。
……そう、音もなく真後ろまで忍び寄ったストーカーがそのままタオル越しに、私の身体を好き勝手に触りだしてしまったのだ。

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