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小さなお伽噺【BASARA短編集】

第3章 ◇給料三倍、疲労は……◇



「フン、騒がしい者共め」

「おはようございまする!!毛利殿!!」



そうこうしているうちに現れたのは、さっきまで外で天に向かって何かを呟いていた毛利の旦那。

そふぁーっていう柔らかい椅子に腰掛けながら俺様達をじっと見ているんだけど、その眉間にはこれでもかってくらい皺があって……


あー、物凄くご機嫌ななめって感じ。



「猿飛よ、こやつにもやらせればよかろう。毎朝の如く行われるそのやり取り、我は聞き飽いたわ」

「毛利殿……!!」

「毛利の旦那ー、そう簡単に言わないでくれる?万が一旦那が怪我したり、絡繰を壊しちゃったりとかしたらどうするつもり?」

「知らぬ、我はどうなろうが興味は無い」



そう言った毛利の旦那は細長い機械を慣れたように扱い、てれびを見始めた。

……毛利の旦那を見習えってわけじゃないし、寧ろ毛利の旦那はもうちょっとちゃんのために何かしてあげなってところだけど……
旦那もこんな風に大人しく、てれびを見ていてほしいって思う。



「旦那、また今度お願いするからさ。毛利の旦那とてれびでもーー」



さりげなく旦那を落ち着かせようとした俺様。

しかし、旦那は俺様の方を全く見ていない。どこか別の場所に釘付けになっている。
なら旦那は一体どこを見ているのか、なんて思いながら視線の先を追うと…………なんと、今さっき「見てほしい」と言うつもりだったてれびで。


ただ、問題はその内容。

所謂料理系番組ってやつで、そんなのを見ちゃったら……旦那は、当然……



「こっ、これならば某にも出来るのではないだろうか……!!!!」


「いやいや、流石に無理だってば旦那ぁ!!!!」



俺様すら作ったことがない、というか冷蔵庫に材料があるかも分からないような料理を旦那が作れるわけないでしょーが!!



「……ふっ……」

「あはー……毛利の旦那、この番組にしたのってわざとだよね?」



あーあ……毛利の旦那ってば勝ち誇った笑みしちゃって…………

旦那も旦那で完全にやる気になっちゃったみたいだし、どうしてくれるのさ?



「もー、旦那……お願いだから今日は……!」

「ならば佐助!!給料三倍でどうだぁあああ!!」


「駄目だって……ば、えっ、三倍!!?まじで!!!!??」



これは………乗るしか、なくない……!?

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