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小さなお伽噺【BASARA短編集】

第2章 翡翠の花嫁(元就/狂愛チック/戦国)


【Side:元就 2/2】


「全兵に告ぐ!!城下にて謀反の気配有り!!小国の者と思われる男と店を営む老夫婦は見つけ次第捕らえ、我の前へと差し出せ!!」



と会った翌日、卯の刻。
我は駒共を連れ、「毛利元就」として茶屋へと足を運んだ。

荒れている店内をゆるりと見渡せば、そこには駒共によって縛り上げられた老夫婦の姿のみ。の姿は無い。
つまりは我と交わした約束を守り、あの林へ向かったのだろう。

……愛しさのあまり、つい笑みが零れてしまった。



「……貴様等は娘を使い、輿入れに見せかけ裏で小国の者と謀反を起こそうとしていた。間違いないな?」


「そんな!!その様な事実は御座いません!!」


「あくまでシラを切るか。……良かろう、元より貴様等の首は刎ねるつもりであった」



ーーを我が手から引き離そうとしたのだ、当然の報いぞ。

我は輪刀を構え、動けぬ老夫婦の首を刎ねようと距離を縮めた……。
数名の兵士が「元就様!!小国の軍師と思われる男を捕らえました!!」と我の前へ男を突き出したため、我は一度構えを解いてその男を見下ろした。

……ほう、これが「軍師様」か。



「何ぞ、ただの薄汚い狸の間違いではないか」



元より期待はしていなかったが、予想を遥かに下回る小国の軍師に我は深くため息をついた。

そして我は「もう良い」と、右手を兵に向かって挙げる。



「斬り捨てよ」の合図である。



その合図と共に振り下ろされた刀、吹き出す鮮血。

駒共によって斬り捨てられた男は悲鳴を上げながら地に伏せ……
やがて、息を引き取った。


これで邪魔者がひとつ片付いた。


残るはこの老夫婦のみ。
本来であれば生きたままの状態に差し出し、命と引き換えに我へ嫁がせようとしたが……気が変わった。

こやつらも始末してしまえ。


そう思い、もう一度輪刀へ手を掛けようとした……直後であった。


愛しいの声が、我の背中から聞こえたのだ。


あまりに遅い我を探しに来たのであろう。
……我が全てを片付けるまで待てなかったことは些か気になるところであるが……まあ良いわ。



「両親を斬り捨てられたくなければ我と共に来い、よ」



この好機、決して逃がしはせぬ。



【END】

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