第5章 初出勤
~ポアロ~
「まさか噂の先生が女の先生だったとはねぇ~」
園子はがっかりした様子で蘭に話しかけた。
「園子ったら男の人だって信じて疑ってなかったもんね。」
「でもさでもさ、先生ってかわいい感じだったよね!最後の「ある人に会いに」っていうの、絶対好きな人よね、気になるー!!」
「確かに!先生の好きな人ってどんな人だろうね!」
「新しい先生が来たんですか?」
みなとの恋バナに花を咲かしていると、後ろから安室に声をかけられた。
「安室さん!そうなの!フランス育ち!」
「ほぉー、どこかで聞いたような話ですね。」
そう言いながら安室はみなとを思い浮かべていた。
すると入り口のベルが鳴り、梓が安室を呼ぶ。
「あ、みなとさん!いらっしゃいませ!安室さーん!」
みなとの名前を聞き、蘭と園子も入り口を見る。
「みなと、いらっしゃい、今日の初出勤はどうでした?」
「日本の高校生って素直で可愛かったわ、フランスじゃみんなませちゃってて……あ!鈴木さんと毛利さん!」
安室の後ろに二人が居ることに気が付き、声をかける。
「じゃあ、お二人が言っていた新しい先生って…みなと?通りで聞いたような境遇だと思ったら…」
「安室さん、みなと先生と知り合いなの!?」
みなとと安室が親しげに話す様子を見て二人は黄色い声を出す。
「先生、その……安室さんとは恋人なんですか?」
蘭が顔を赤くして尋ねる。
「えぇ、実は…「違います。」…チッ」
また「恋人」だと名乗ろうとする安室を遮る。
「それより、蘭ちゃん、久しぶりよね、覚えてないかな?まだ小学生だったもんね?学校じゃ話しかけられなくて。」
急に「久しぶり」と言われた蘭はしばらくじっとみなとの顔を見てはっとした顔をする。
「みなとお姉さん!?お久しぶりです!気が付かなかった!」
「ねぇ蘭、どういう知り合いなの?」
「新一の従姉のお姉さんよ!子供の頃たまに遊んでもらってたの。なんで思い出せなかったんだろう。」
そしてしばらく思い出話に花を咲かせた。