第5章 初出勤
「そんなことよりも!安室さんの先生ってどんな関係!?どこで知り合ったの!?安室さんが誰かを呼び捨てにするところなんて初めて聞いたかも!!」
蘭とみなとが思い出話をしていると園子が痺れを切らしたように割って入った。
その問に蘭も二人の返事を待つ。
「昔馴染みでね、最近運命的な再会を果たしまして。」
『ただの友達よ。最近たまたま再会したの。』
ニコニコと答える安室にすかさず訂正を加えるみなと。
不満げな安室を余所にきっぱりと言い放った。
「えー、なんだー、てっきり先生の『ある人に会いに』って安室さんのことかと思ったのにー。」
明らかに残念そうに園子が呟くと、安室がその言葉に反応した。
「ホォー……その『ある人』について詳しくお話しいただきたいですね?」
安室のその様子に女子高生2人は黄色い声をあげる。
『透くんじゃないことだけは確かね。あ、やだ、もうこんな時間!?私用事があるから帰るわね、2人とも、また明日学校で!気をつけて帰るのよ!』
安室の言葉を軽く受け流しながら時計を確認したみなとはテーブルにお金を置いて去っていった。
その様子を愛しげに、寂しげに見つめる安室の表情は誰にも見られることはなかった。