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黒か白

第5章 初出勤


「ねぇ蘭!今日新しい先生が来るって聞いた?」

「聞いた聞いた、英語の先生だよね、どうしたの?そんなに興奮しちゃって。」

園子は蘭の反応に不満げに話を続ける。

「どうしたの?じゃないわよ!その先生帰国子女らしいのよ!イギリスの大学院を出てるからもちろん英語はペラペラ、おまけに大学まではフランスに住んでたんだって!しかも26歳!!きっと白馬に乗った王子様みたいな先生に違いないわ!」

「白馬って……」

園子のテンションに軽く引いている蘭をよそに園子は一人夢を抱き続けていた。

「はい、席に着けー、今日はこのクラスの副担任の先生を紹介するからな。」

担任の一言で教室は静まり、教壇側の入り口を一斉に見つめる。
ガラッと引き戸が引かれ、みなとが中へ入る。

「じゃあ紹介する、新しく英語の先生として赴任された藤峰先生だ。先生、どうぞ。」

「ただいまご紹介に預かりました、藤峰みなとです。教科は英語を担当します。よろしくお願いします。」

自己紹介を終えるとみなとへの質問が飛び交う。

「先生帰国子女って本当ですか!?」
「フランスに住んでたんですか?」
「フランス語話して!!」
「先生彼氏は!?やっぱりフランス人とか?」
「イギリスにもいたんならイギリス紳士かも!」

高校生の勢いに押されつつ、みなとは口を開いた。

「えっと、すごいね、もうそんなに情報が…一体誰からそんなことを……?」

「「「園子から!!」」」

みなとの素朴な疑問に全員が一斉に答える。

「い、いやぁ、今朝たまたま職員室に行ったら先生たちが藤峰先生の噂してるのを聞いちゃって……えへへ……ところで先生!本当なんですか!?」

悪びれる様子なく質問に戻る園子。

「一応小学校高学年までは日本に居たんだけど、その後父の仕事の関係でフランスに。大学まではフランスで過ごして、イギリスの大学院に進学して、一度フランスに戻ってしばらくはフランスで働いてたのよ。」

「なんでまた日本に帰って来ようと思ったんですか?」

「ちょっとある人に会いに……ね、」

「彼氏だ!」

「さぁ?どうでしょう?」

従弟の体が小さくなったのが心配で戻ってきましたとは言えず、みなとは少しはぐらかすと、教室は更に騒がしくなった。
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