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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第2章 ✼藤✼



(二日後が結が越後に来る日だったな)


結は安土に戻ってからも忙しい合間を縫っては度々越後に訪れていた。
結が来る日は城の皆が楽しみにしており、滞在中は活気に包まれる。


(その日は一日空けてある。何処へ行こうか、城でゆっくり過ごすのも良いな)


そんな事を思いながら将棋を指す。


「王手だ」


「流石だ。負けたよ」


すると、勝負がついたと同時に、部屋の中にザーッ…という音が流れ込んできた。


(雨か……)


閉めていた襖を開けると、それは次第に大粒の雨となり、雷まで鳴り出す始末。


「こりゃあ急に降られたな」


「昨日も快晴だったが……。天気とは良く変わるものだ」


天気とは良く変わるもの。
そうは言ったが何か引っかかる。


(何か良くない事が起きる気がするな)


「なんだかなぁ…不吉な予感がするぞ」


信玄も同じことを思っていたようで、胡坐をかきながら顎に手を当てる。


「……そうだな」


強い雨は縁側を濡らし、木の色を変える。


(杞憂であれば良いがな…)


そう願いながら、そっと襖を閉めた。










*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*


時は超えて、越後より遠く離れた所でも豪雨が降っていた。
場所は本能寺……この時代では京都府と言った方が分かりやすいだろうか。


「うわ、大雨かよ……傘持ってない…」


パタパタと走り出した先には本能寺跡と書かれた石碑。
その前を通り過ぎようとした時、交わる事の無いはずの線が、重なった。


──ドカンッ!!!





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