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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第3章 ✼翁草✼


 
§ 叶多Side §


「うん……ごめんね。やっぱり帰りたいよ」


そう言われた時、俺は心底後悔した。
結をこの時代に連れ戻してしまった事。

俺も沢山考えて悩んでこの結果に達したはずなのに。
結の幸せを願って自分が悪役になる道を選んだはずなのに、半年以上たっても結は心の底から笑えていないようだった。


「謙信の所に行くのか。気を付けて行って来いよ」


「うん!行ってきます!」


いつの日か聞いた政宗さんと結の会話。
その時みた結の顔は遠くからでも分かるくらい幸せそうだった。
だけど今の結はとても寂しそうに見える。


「ごめん…本当に、ごめん」


何度謝っても取り返しのつかない事をしてしまった。


「謝らないで」


なのに、彼女は怒らなかった。


「私と謙信様はまた会えるよ。今はちょっと……離れてるだけで」


「強いね、結は」


俺はずっとこの子に恋をしていたんだ。

高校の時、俺と彼女は弓道部だった。
いつも俺は二位で結は一位。悔しくて弓道なんて辞めてやろうと思った時


「諦めなければ必ず出来るよ。あ、でも私も叶多には負けたくないから頑張るけど……!」


そう言ってくれた優しくも強い彼女に、その時恋をした。
初恋だった。


「悔しい……勝ちたかった…………」


一度だけ俺に負けた時も。
たったの一度なのに、悔しくて人知れず泣いていた彼女に、ずっと恋をしていた。


彼女の幸せが上杉謙信と再会する事ならば、俺もそれが叶う事を願おう。


「一度は結を傷つけたけど……結には本当に幸せになってほしいんだ」


「分かってる。私の為にやったんでしょ…?私ね、私…!謙信様が好きなの。……大好きなんだ」


顔を赤くしてそんな事を言われたら勝てない。

だから、俺の初恋はこれで終わりだ。
彼女の瞳から一粒の雫が零れる。
俺の頬にも涙が伝った。













「好きだったよ。結」



















さようなら、俺の初恋。








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