第2章 ✼藤✼
運命は回りだす。
一つの偶然と、それによって招かれた一人の男の選択によって。
ある者は愛する者の幸せのため、自分が悪者になる決意をした。
ある者は愛する者を不安にさせたくないと、心の中の思いをそっとしまい込んだ。
ある者は愛する者の涙を拭ってやることが出来ず、自分の無力さを呪った。
誰一人、悪意を持っていなくとも、幸せの形が違えば不幸が生まれてしまうのもまた世の理(ことわり)。
*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ
愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会できる。
*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*
高校生の時に授業で習った百人一首にこんな歌があった。
私たちは……また会えるかな。
交錯する想いを乗せて、運命はまた回りだす。