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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第2章 ✼藤✼



§ 謙信Side §


「謙信様、ワームホールの観測に行ってくるので少しだけ城を留守にします」


佐助のこの一言が引っかかった。
結は明日だと言っていたのに、佐助は今日だと言った。


「何を言っている、佐助。結はわーむほーるとやらが出るのは明日だと言っていたぞ」


佐助に尋ねると、佐助はいつもの無表情でキッパリと言い放った。


「いえ、今日です。俺が調べましたから間違いありません。結さんには直接伝えていないので聞き間違えたかも知れません」


「直接伝えていない?」


「叶多さんの話は聞いていますか?」


「あぁ、聞いている」


「結さんは俺からではなくて叶多さんからワームホールの観測日を聞いているはずです」


佐助から直接伝えられていない…考えたくはないが嫌な方向ばかりに妄想が広がる。


「それが出る場所は伝えてあるのか?」


「叶多さんには伝えてあります」


「今から行くのであろう。俺も連れて行け」


取り急ぎ信玄と幸村に城を空けることを伝え、全速力で馬を走らせる。
だがどれだけ早く走ったところで目的地は安土。すぐ着くわけでもない。


(何も無ければそれでいい。だからどうか今も笑っていろ、結)


得体の知れない不安を胸にどれくらい馬を走らせただろうか。
時はもう夕刻……と、その時。


…………ポツリ


一粒の雫が手網を握る手へと落ちた。


……ポツリ、ポツリ、ザァァァァァ……


直ぐにそれは豪雨へと変わった。
だんだんと強くなる雨脚はまるであの日のようだ。
強くなる雨のように俺の不安と恐怖と、負の感情もどんどん大きくなる。


「佐助、まだか……!」


「もう着きます!あの丘です!」



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