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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第2章 ✼藤✼




「嘘…明日だって…」


ワームホールが出るのは明日だって、言ってたのに。

これは何?って聞かなくても分かる。今からここにワームホールが出る。


(私も…連れていかれる……!)


その場から離れようとするけど、叶多が私の腕を掴んで離さない。


「お願い!叶多離して!」


その声も…届かない。
雨に濡れた髪で顔は見えない。頬を伝う雫が涙なのか雨なのかも分からない。


「嫌……」


私の頬からも涙が零れた時、何処からともなく声がした。


「……っ…結…っ!」


こんな嵐の中でも分かる大好きな人の声。


「謙信様…謙信様!!ここです!」


必死に声を張り上げると、それまで何の反応も見せなかった叶多が声のした方を振り向いた。

声はやがて形を成して、人影となって私の前に現れる。
馬に跨りながら、全速力でこちらに駆けてくる一人の男の姿。


「結!!!」


あと、数メートル


「謙信様!」


あと少し。あと少しで謙信様にこの手が届くのに。

二人の手が触れ合う事は無かった。


叶多が私の体を引き寄せて抱き締めた瞬間、轟音と共に訪れた雷。

視界が歪み、思わず目を瞑る。
私を抱き締めていた叶多の感覚が無くなって、目を開けると、そこはタイムスリップした所とは違う場所……神社のような場所だった。


「謙信…様…っ……」


伸ばした手は雨しか掴むことは無く、流した涙は雨へと消えた。



「く…っ…ああああああっ…!!!」


流れる涙を拭ってくれる優しい手も
何かある度に心配そうに見つめてくる瞳も

そこには何もなかった。





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