第2章 ✼藤✼
「わぁ…!どうやって見つけたの?」
「この前佐助に連れてきてもらったんだ」
叶多の黒髪がさらりと流れ、大きく深呼吸をして話し出す。
「俺の気持ちなんだけど。ごめんね、俺はやっぱりまだ結に気持ちがあるみたい」
「……」
何も言えなかった。
そもそも別れ話を切り出したのも私の方からだった。嫌いという感情が出て来た訳では無い。でもどうしても友達以上の気持ちを持てなくて。
優しい叶多は「分かった」って言ってくれたけど、凄く悲しそうな顔をしていたのも分かっていた。
「こうして再会するまで未練があった訳じゃないんだよ。ただ結が現代に帰らないって聞いてどうしても受け入れられなかった」
「それは叶多のせいじゃないよ」
「違う、違うんだ、結っ…」
風が止んで、叶多を見ると頬に涙が伝っている。
「叶多…?」
嫌な胸騒ぎがして咄嗟に叶多の腕を掴んだ。
「何かあったの?叶多!」
何を聞いても叶多は「ごめん」を繰り返すだけ。
すると、二人の頭にぽつり、と雨粒が降り注いだ。
「雨だよ、叶多!帰ろう?」
「ごめん結。かえ、ろう…」
雨粒はだんだん酷くなって嵐へと姿を変える。
まるでそこだけが異世界と繋がってでもいるかのように。