第14章 ✼黒種草✼
中にそのまま出していて、零したくないと言うのはそういうことで、それは謙信様も多分分かっていると思う。
謙信様は子供欲しいですか?
なんてこと、聞けなかった。
まだ婚約したばかりだし、この時代ならまだしも現代では私の年齢では大半の人が子供を産んでいない。
私自身もまだ子供について明確な答えを持っていない。
でも、私だけをこんなに愛してくれる人だ。
最初は私の手にトゲが刺さってしまっただけでも、それを全部庭から刈り取ってしまったくらいだし……子供について価値観の違いも……なんて考えが一瞬だけ頭をよぎったけれど、ふわふわとした頭で考えられたのはそこまで。
「結。もっとお前を感じさせてくれ」
それから私たちは空が明るくなり始めるまで、お互いを求め合った。