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月下香の蛇

第1章 始まりと夜


「では、顕現してみましょう!」
まっすぐとやって来た部屋でこんのすけが言った。
「顕現…」
「その刀剣に様の想いを込めてください!」
深呼吸を一回。
目を閉じて想いとやらを作る。
目覚めなさい。
頭の中で一言告げると、手の中にある刀が熱くなった気がして
目を開けば、そこに男が立っていた。
「わしは陸奥守吉行じゃ。
せっかくこがな所に来たがやき、世界を掴むぜよ!」
高らかに宣言した男は陸奥守吉行。
私があの5振りの中から選んだ刀剣。
「おまさんが今代の主か?」
何も言葉を発しない私に陸奥守は問うた。
「えぇ、そうなるみたい。よ、宜しく」
「そうか!これから宜しく頼む」
がはは!と笑いながら右手を差し出す陸奥守に
私も右手を差し出した。
キュッと握られて、軽く上下に揺らされる。

「では、早速!」
陸奥守との初めましての挨拶もそこそこに
こんのすけは陸奥守を出陣させるように私に言う。
こんのすけの言う通りに陸奥守を1振りで出陣させ
大怪我を負って帰ってきた陸奥守を手入れして…

本丸に来た初日はこんのすけの言う通りに行動するだけで終わった。
陸奥守が大怪我を負って帰って来た時には
「勝ち目のない戦だって分かってたんでしょ」
こんのすけに冷たい言葉をかけてしまったが
「これは、審神者になられた皆さんが通る道です」
そうシオシオとしながら言うこんのすけに
次の矢を撃つのは止めた。

新たな刀剣男士を顕現させて戦力の強化をしなくてはならない。
その為には資材を集めなくてはならない。
資材を集めるためには出陣しなくてはならない。

とにかくやる事は山積みのようだったが、
大怪我を負って帰ってきた陸奥守を見て今日一日のやる気が失せた。
こんのすけにそう伝えれば、
「手入れが終わりましたら、本丸を案内します」
と、小さく返された。

本丸の見学を終えると、外は夕焼け。
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