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月下香の蛇

第1章 始まりと夜


政府の男が来てから3日後。
なんとも唐突に、私は本丸とやらへ移動する事になった。
これからはソコで刀剣男士と暮らすらしい。
移動する間、
私の横に立つ政府の男は一言も発する事は無く、
政府の機関の最奥で
「私は此処までなので、」
と頭を下げるまで
私の脳内にはこの男の心臓の鐘だけが聞こえていた。

あの男は私が大層苦手らしい。
緊張している素振りを見せないように必死になっていて
表面は取り繕っても
臓器は素直だった。
可哀想に。

無機質な廊下を進んでいくと
「お初にお目にかかります」
足元から声がした。
「私が審神者様のサポートを務めます、こんのすけです」
足元には毛むくじゃら。
何も言わずに見つめていると
「まず刀剣を1振り選んでいただきます」
と、広い部屋へ案内される。

部屋の奥へと足を進めると
5振りの日本刀が飾られている。
「どうぞ!」
あくまで明るい声で私を導こうとするこんのすけ。
飾られている刀に近寄れば
それぞれに銘と簡単な説明が書かれていた。
「どれでも良いの?」
「はい!」
適当に一番身近に飾られていた刀を持つ。
「じゃあ、コレ」
「本当に宜しいのですか?」
迷うでもなく選んだ私に対して
こんのすけは確認をする。
頷いた私に
「では、本丸へ参りましょう!」
先導するように小走りに部屋のさらに奥へ向かっていった。

部屋の最奥にはゲートとやらがあり、
そこから本丸へ行けるらしい。
ゲートは時の政府の機関にいくつかあるらしく、
ここにあるゲートはこの建物では唯一の物との事だった。

ゲートを通してやって来た本丸は、
大きな桜の木が印象的な大きな日本家屋。
こんのすけの説明曰く
この本丸は私の霊力で維持されるものらしい。
草木の状態や空気の状態までも
私の状態で良くも悪くもなるそうだ。
なんて、面倒な。
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