• テキストサイズ

月下香の蛇

第2章 演練と狐


今剣
岩融
堀川国広
和泉守兼定
歌仙兼定
小狐丸

この6振りで演練に参加した。
なぜこの面子かと聞かれれば、
最近この本丸に来た岩融に戦闘慣れしてもらう為で、
その為に岩融と仲の良い今剣を隊長に。
脇差の堀川と動きの相性の良い和泉守。
最近出撃部隊に入っていなかった歌仙と
同じく内番続きであった小狐丸。
私なりにここ最近の刀剣男士たちを見てバランスを取ったつもりの編成。

演練場に着くと、
今剣は岩融に色々と説明を始めた。
岩融も大きく頷いて今剣の話を聞いている。
堀川と和泉守、歌仙の3振りも何事かを熱心に話している。
これからおこなう演練の事なのか、それとも無関係の話か。
演練場の人込みの中、
彼らの話を聞きとるのは容易ではない。
私は早々に諦めて、目的の場所へ向かう事にした。
どうせ彼らも私の後ろをついて来るのだから。
気にするのは止めた。

演練に参加するために受付へ。
受付を済ませてしまったら、自分たちの番が来るまで待機、である。
人混みの中、
嫌でも人との距離が近くなる。
仕方のない事だとため息を吐いて
隅の方へと歩みを進めた。

他の本丸の者たちの演練が始まる。
興味深く観察する者も居れば、視線を向ける事さえしない者も居る。
同じ刀剣男士でも細かな性格が違うのは
顕現させた主の違いなのだと、こんのすけは言っていた。
私の顕現させた彼らは、私に似るのか。
少し考えてみたが、あまり良い想像にはならず
すぐに打ち消した。

そうこうしている間に次の演練に参加する者が呼ばれる。
受付で貰った番号と今呼び込んでいる番号が一致した。
「行くわよ」
聞こえているのか、いないのか
一応彼らに声をかけて足を向けた。

「どうも、宜しくお願いします」
演練の相手の本丸の審神者はにこやかに笑みを浮かべて手を差し出す。
こちらも同じように手を差し出せば
必要以上に強く握られた。
爽やかな男。
表面の皮を剥げば、ねっとりとした執着を感じる。
男ばかりの本丸で、女に飢えているらしい。
知った事ではないが。
「ウチは最近一期一振をようやく手に入れましてね。
今日は弟たちと一緒に演練に参加させたんです」
握りしめた私の手を離す事なく男は話す。
「いやぁ、粟田口の短刀たちが喜んでくれまして。
ボクも嬉しい限りで…」
私の手の甲をやわやわと撫でるように男の空いていた手が動く。
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp