第9章 大阪城攻防戦 ~ 一期一振のキモチ ~ 下
くろのすけ『今宵はわたくしめがお供します』
『・・・・』
くろのすけ『4名だけとは随分と少ない精鋭ですね』
『・・・・短刀の子たちはまだ育成できていなかったのよ』
黒の面を寝ている刀剣男士に被せると、気配も意思も無くなったように私の後を付いてきた。
くろのすけ『・・・では、面に貴女の氣を注いでください』
通常の白い鬼の面は刀剣男士の派手な見た目を隠すために、付けさせる。
普通の人間が刀剣男士を見たら異形の者として騒がれてしまうから、どんな状況にいても違和感のない存在に視えるように、相手の視覚を騙すためのもの。
それが变化の鬼の面。
だけどこの黒の面は私の氣を通すことによって、力を発揮する。
そして発揮されて变化されたその姿は--。
『・・・検非違使』
きっと時の政府の中には様々な派閥が存在しているのだろう。
歴史修正主義者ももしかしたら時の政府の派閥なのかもしれない。
そして検非違使もそれは同じことで。
くろのすけ『光ばかりでは、世の中を動かすことは出来ないのです』
『・・・そうね』
政府の意図を知るために、刀剣男士を騙して、こんな禍々しい姿にまでしてしまった私も・・。
光だけで満ち溢れていた本丸には、もう戻れない。
長義は珍しく私に任務を放棄しろと言った。
これは真っ当な任務ではない。戻れなくなる、と。
(・・・だけど、私はずっと前から少し気づいていたんだよ)
時の政府の本当の目的。
審神者の役割。
そして複数いる刀剣男士の存在を。
くろのすけ『今宵は―――――』
時折疑問に思っていた。
なぜ演練と称して、他の審神者の管轄である刀剣男士同士を戦わせる必要があったのか。
同じ刀剣を何度も呼び寄せれるのか。
演練はきっと、刀剣男士同士の戦いに慣れさせる為。そして同時に刀剣男士はあくまで人の形をしているだけなのだと認識させる為だ。
審神者にも数ある本丸の一つなのだと、知らしめることも出来る。