第9章 大阪城攻防戦 ~ 一期一振のキモチ ~ 下
くろのすけ『・・・審神者は本丸を拠点に刀剣男士を育成し、強化することで刀剣男士の個々のデータを政府に報告しております。それは何故か分かりますか?』
『・・・データを未だに集めているってことは、データは完成していないってことよね?』
くろのすけ『そうです。刀剣男士の中にはすでに存在しないもの、そもそも存在すら怪しいものもいます。ですが、人の想いの塊で生まれた付喪神である刀剣男士にはそれは些末なこと。長い歴史の中で、刀剣男士の想いの欠片は時代のあちこちに散らばっております。それを拾い上げられるのも審神者の役割です』
まるで失われた記憶を集めるように、刀剣男士の欠片を私は幾度もすくい上げてきた。
くろのすけ『時の政府は何千、何万と刀剣男士の欠片を集めてきました。そしてそこから、ただ一つの完全無欠の刀剣を練り上げ、神格とし、時代を干渉させない結界を作り上げる計画なのです』
『・・・時代の節目に刀剣は存在する』
権力のある処に業物や名刀が集まるのは至極当然のこと。
だから、使い勝手のいい刀剣が付喪神として選ばれた。
破壊されない限り、ずっと存在し続ける彼らが結界になれば敵の侵入を阻止することが圧倒的に容易くなる。
『・・・だけど、いくら欠片を集めても、刀剣を強化しても・・・心を通わしても、完全になることは出来なかった。と』
くろのすけ『・・はい。そこで時の政府は最後の欠片を集めることにしたのです』
暗闇の中、町が月夜で僅かに照らされている。
くろのすけ『・・・練り上げられた刀剣を破壊して、その最期の魂の解放させるのが今回の任務です』
ぞくり、と背中が身震いをした。
くろのすけ『・・・貴女には今から検非違使になって、刀剣破壊をしてもらいます』
組織は大きくなればなるほど、正義だけでは保てない。
それは、歴史上で知っていた。
他人事として、知っているだけだった。
「・・・・それから何度も私は謀反を起こし、何度も幽閉され、そして最後には・・・刀剣破壊を行った」
これは紛れもない事実。