第9章 大阪城攻防戦 ~ 一期一振のキモチ ~ 下
安定「---え?えっ?ちょ、ちょっと持ってよ!検非違使って俺たちの敵だよね!?」
加州「うん――。だけど、正体に関しては俺たちも分かってない。そうでしょ、燭台切」
燭台切「そうだね。正直、敵の正体を掴めるほどの証拠はあちら側も残してはくれないからね」
鶴丸「しっかしまぁ・・・まさか俺たちのほうが検非違使だったなんて驚きだぜ」
ざわざわと刀剣男士たちに動揺が走る。
「検非違使自体は悪いことじゃないの。非違の検察を主とした治安維持のようなものだから」
今剣「じゃあぼくたちがたたかっていたのも?」
「そう。彼らは歴史修正主義者とは違う、如何なる者も歴史に干渉させるとこを良しとしない検非違使たち。所属や時代が違うだけのね」
短刀たちも分かるように、なるべく分かりやすく説明をする。
歴史修正主義者は文字通り、より良い世界にしていくために元になる取り返しの効かなかった歴史を修正することで完璧な世界に変えようとしている。
そして時の政府は正史を守るために刀剣男士を使い、今までの歴史を変えさせないように守っている。歴史が少しでも変われば生まれてくる命も変わってしまうし、良いことも悪いことも歴史なのだと。
検非違使はそのどちらにも存在していて、どちらとも良しとしない無干渉派の組織も存在している。
平野「主さまが所属だけでなく、時代が違うという意味を考えると敵対勢力は本当に数多いるんですね・・」
薬研「数多なんてレベルじゃない。時を越えて攻め込まれているのなら・・一生かかっても終わらない」
「もっと言うなら平行世界の干渉もある・・それこそ、もう敵の正体なんて問うことも意味のないことになるくらいにね」
いちいち戦った敵がどこの時系列でどこの勢力かなんて、調べるだけ時間の無駄になる。
だから自分たちの勢力だけを信じて、あとは敵と考えるしかない。
正直、勢力が大まかに3つにわかれていてくれるだけでもありがたいくらいだ。
人類が時を超える術を得てしまった時から、常に歴史は混沌へと向かっているのだから。
一期一振「・・・時の政府は、その終わりのない戦いに終止符を打つ策を考えました」
一期一振が静かに言葉を放つ。