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シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第12章  What's your name?



 ―――ピコンッ
 ――ピコンッ
 ―ピコンピコ……

 バン!!


「……っンだ朝からうるせぇ」

 
《おはよ。返信ないから、明日学校に届くように送るわよ》
《有り難く受け取りなさいよ?》
《(スタンプ)×3》



 AM6:12


 いささか早い時間に突然きた母からのモーニングコール?で爆豪は少々目覚めの悪い朝を迎えた。
 仰向けのまま持った携帯の右上をみると、本来起きる時間よりも大分早く時刻が刻まれている。

 そういえば昨日の朝に連絡が来ていたが、既読だけつけたのを思い出した。
 用件は入寮時に間に合わなかった衣服について。
 しまい込んでいた衣替えが済んだから送っていいかの確認だった。

 昔からコミュニケーションは直接取る方が向いている。
 父 爆豪勝は別として、この母にして自分ありだ。
 言いたい事は面と向かって言う性分。
 個性はいいとこ取りしたが、性格は母譲りだ。
 
 それにしても朝からわざわざ連絡してこなくても良いではないか。
 と、悪態の1つでも返そうと思ったが返事がなかったからこそ、この時間なのか。
 「分かった」とだけ返してすぐ二度寝の体勢に戻る。


 けして臆してるわけではない。
 先日出くわした時に改めて思い直したのだ。

 触らぬ神に祟りなしだと。




 ――ピコンッ
 

「ンだよ、まだ何か……」


《それと、アンタの美味いって言ってた○✕堂の辛いのも入れといたから》


 液晶を見てイラついた感情が出かけて引っ込む。
 
 ○✕堂は県を跨いである老舗和菓子店だ。
 辛いのとは、和菓子屋でありながら時折甘味に飽きる店主の趣味で販売される「激辛おかき煎餅DXEND」

 珍しく美味かったと素直に感想を言ったそれは、何時だったか父が「取引先に貰ったよ」と持ち帰ってきた物だった。
 県外なうえに、月に1度の限定品ともあって食べたくてもなかなかそれ以降口に入ることはなかった逸品だ。

 かすかな記憶で味を思い出していると、また手の中で携帯が鳴いた。
 ただでさえ近頃寝付きが悪いのだ。
 


――ピコンッ


《それでも食べて頑張んなさい》
 

 だから返信なんてしない。




「……ホント、うっせぇな……」




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