第12章 What's your name?
耳の奥まで無理やり届けと賑やかな
煩わしい雑音
金属音にガラスのぶつかる音
足元の砂で歪な丸を描いたらば
愉快な声が加わる
『上か下か
何故なら今宵は貴方が―――』
―――パシャン
「……明るくなってきた」
第12章 What's your name?
世の中の大半の人が思うんじゃないだろうか。
―― AM4:27
「……うわ、変な時間に目が覚めちゃったな」
カチコチカチコチ。
こんな時は、少しだけ損した気分になる。
何度確認しても掴んだ目覚まし時計はまだ起きてはいない。
予定した時間よりも早く起きてしまう不思議。
秒針が動く音だけがこの室内を支配していた。
ベットの上で上半身だけ起こすと、いつも以上にボサボサな髪を触りながら緑谷もそんな悩ましい一人になっていた。
床(とこ)に就けば即座に眠りにつくのに、ここ数日はどんなに疲れていてもどことなく眠りは浅い。
(朝食はAM7:00からだし……もう少しだけ眠っ……いやでも……)
目覚ましを元の位置に戻して再び布団に吸い込まれると、ゴロゴロと布団の上を転がり忌まわしい状態との攻防戦。
壁に貼ったオールマイトのポスターとにらめっこしたりなんかしても何も変わらない。
ただ時間が過ぎるだけだ。
「(喉も乾いたしなぁ)
……仕方無い、起きようかな」