第10章 追熟の世代
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自主練を終えた1-Aの面々は、寮までの道を談笑しながら歩いていた。
何時もは早々に引き上げるメンバーも残っていた為、遅い時間にもかかわらず、その様子は高校生らしく賑やかであった。
放課後のマックで談笑ならぬ、自主練後に談笑はヒーロー科としては及第点だろう。
「腕立て勝負とかして、楽しかったな!たまには、あーゆうのいいな!」
「何時もなら、もっと早く点呼になっちゃうけど、時間があると色々出来ていいね。だけど、腕とかパンパンだよ」
「……少々無理をしすぎたな。ダークシャドウもすっかり引っ込んでしまった」
もっと早く切り上げるつもりが、いつの間にかこんな時間になっていた1A男子。
それもそのはず、ロードワークを終えた上鳴達が何気なく自主練場を覗くと、モテるんじゃないかと噂の壁をイチが攻略していたのだから。
時間もそこそこから始まる【雄英の壁】(ボルダリング)攻略講座。
そして男子高校生のノリそのままに、筋トレ祭り。
普段から筋トレしている緑谷と切島は、まだ余裕がありそうだが、あまり肉体派ではない面々は少々疲れ気味であった。
「俺こんな時間まで自主練場に居たの初めてだ。調子のってやり過ぎたー!体いてぇー!
つーかあの壁、登るコツ聞いてもやっぱ出来ないよなぁ?」
1日の力を出し切ったのか、すっかり肩から脱力して歩く上鳴は、隣にいた瀬呂に力無く話しかけた。
「峰田なんか早々にリタイアしてったもんな。
女子も明日に響くからって早めにあがってったし。
昼間も地獄トレーニングだし。
程々にしないと仮免までに体がもたねぇかも……」
「飯田君とか尾白君とかも明日に響くからって早くあがってたし、確かに無理しない方がいいね」
「だよなぁ〜。っあー!!早いとこ風呂入って寝ちまおうぜぇ〜
……んっ?
なぁアレって……」