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シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第10章  追熟の世代




「えっと、日本だと【狐】だったかな……?」


 自らを指差し、そのまま右手で狐の形を作ると、「コンコン」と声を真似る。


「ウィルが言ってたけど、あんまり変わらないんだって。
一部では【アーバンビースト】って言われてて、身体の機能が異常に高いんだって。
気になるんなら……うん、ウィルにでも聞いてよ」
  

 思い出すのと説明が面倒くさくなった。
 そんな感じでイチは話をするのを止めてしまうと、1つ大きく伸びをすると直ぐに別の話題を口にした。


「ねぇ、出久は何でヒーローになりたいの?」

「え?」

「聞きたい。聞いちゃダメ?」

「いや、ううん!そんなこと無いよ。
えっと、小さい頃に観たオールマイトの映像に憧れて……それでかな、ヒーローってカッコイイなぁって。

だからオールマイトみたいに【どんなに困ってる人でも笑顔で救けるヒーロー】になりたいんだ。

……そう、ならなきゃ。
それが、僕のヒーローになりたい理由、かな?」
 

 言葉を確認し噛みしめる様に両手を胸の前で握る姿は、何処か憂いを帯び言葉には光が射すようだった。
 イチはゆっくり緑谷の言葉を消化させる時間を取ると、新しく問う。


「何となく分かったけど、何で知らない人を救けたいと思えるの?」


 切島に尋ねた時と同じく、何故そうするのか。
 答えを知りたい、そう思わせる問いかけだった。


「……えっとうまく言えないけど、救ける時にあんまり理由とか考えてる暇ないかな。
最初は(オールマイトへの)憧れが強かったけど、少し前に救けた子から手紙を貰ったんだ。嬉しかった。

「余計なお世話をするのがヒーロー」
「考えるより先に体が動く」
 
何もしない後悔をするなら、何かをした後悔のほうが後悔しない。
僕はそれでいいかなって思ってるよ」


 憧れ(ヒーロー)は現実へ。
 真っ直ぐな少年の目は明日を捉える。

 目を閉じて少し考える仕草をすると「分かった、ありがと!」と、体の前で手を1つ叩いた。
 この話も終わり!イチなりの合図なのか、何事も無かった様にそのまま緑谷の訓練の続きを始めたのだった。

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