第9章 花いちもんめはしたくない
―1A専用自主練場―
「あっ、きた〜!」
切島と緑谷が着くと、結構な高さの建物の上からイチが器用に降りてきた。
「うおっ!?って、あれ、俺たちより後に出たはずだよな?いつの間に抜かしたんだ?」
寮の裏手にある自主練場までは少し距離がある。
それは、簡単な道順で途中に抜け道はなかったはずであった。
緑谷は切島と顔を見合わせると、目の前で悪戯に笑うイチをただ不思議そうに見たのだった。
「まぁいいか。ヨッシャ!まずは俺……」
―――!?
中に入ろうとした瞬間、3人の間を裂くように巨大な塊が上から降ってきた。
緑谷と切島は素早く反応すると横に飛び退く。
その最中に2人は、それが巨大な手だと認識した。
「えっ!?大拳って……B組の拳藤さん!?」
「はっ?何で!?アイツこんな事する様な奴じゃ……
第9章 花いちもんめはしたくない